BELUGA
Airbus A300-600ST Super Transporter
New Tokyo international airport(NRT)

 February 20,1999

フランスから絵画を運んだベルーガがアジアを経由して帰還する。飛来情報は直前まで錯綜し、捕捉できたのは幸運だった。

正面から見るといかにも異様だ。この日、滑走路エンドのフェンスには航空ファン200名以上が結集した。フェンスは脚立の林状態になった。

機体側面には、運んだ絵画イメージがペイントされている

滑走路エンドに到着。絵画の女神の胸には何故かマスキングが。。

離陸直前のベルーガ


March 31,1999

展覧会が終了し、絵画を引き取りに来たベルーガ

この日、朝一番で到着したベルーガ。風雨の中離陸へ。

機体側面の女神にはマスキングはありませんね。。

推力を上げて離陸滑走するベルーガ。またの来日をお待ちしてます(^^

エアバス・超大型貨物機 A300-600ST(通称:ベルーガ)

この異様で愛らしい形をした航空機はエアバス・インダストリー社がヨーロッパ各地の工場で製造された航空機の大型コンポーネントを空輸するためにエアバスA300-600Rをベースに大幅な改造を加えて製造した貨物機である。エアバス社はそれまでボーイング377爆撃機をベースにした輸送機を使用していた。そのずんぐりした体形から”グッピー”の愛称で親しまれていた。このグッピーは米国のアポロ計画によるサターンロケットの輸送のために作られたものであった。ベルーガは、そのグッピーの後継機である。STはSuper Transporterを意味する。重心が高く、ロール方向の安定性を補うために水平尾翼の先端に垂直安定板が付いている。初飛行は1994年9月13日。ベルーガ(白イルカを意味する)と言う愛称は、頭にこぶのある白いイルカによく似ていることからSATIC社(この機体を製造するために創設された会社)がこの愛称を付けた。SATIC とは Special Aircraft Transport International Company の略で、エアバスとヘリコプターの老舗エアロスパシアルの合弁会社です。しかし、エアバス側ではこの愛称を余り気に入っていないらしく、同社内ではこの愛称を使わないことが多いらしい。

A300-600STは1996年8月に設立されたATI(エアバス トランスポート インターナショナル)により、国際規模の商用輸送フライトを行っています。1999年の日本への絵画輸送をはじめ、人工衛星や宇宙ステーションモジュールの輸送も手がけています。1997年には、6.5メートル x 17.6メートルの鉄製タンク(39トン)を空輸し、単体としては世界最大の貨物輸送の記録を作りました。現在、ベルーガは5号機まで就航しています。これまでエアバス事業を主に就航していましたが、増加しつつある貨物輸送需要に対応するために2001年1月に就航した5号機は、チャーター専用機になっています。

日本初飛来!

1999年2月19日午前8時23分、成田空港にベルーガが日本に初飛来した。今回の飛来の目的は、フランスの芸術家「ドラクロア」の傑作絵画「民衆を導く自由の女神」を「日本におけるフランス年」の一環として東京国立博物館に展示するためにフランスから日本へ輸送する為である。ドラクロアの絵画は、額縁を含むと縦330cm、横390cmにもおよぶ巨大なもので、直立させた状態での輸送が必要あった。輸送は3重にも及ぶ梱包形状をとり、特殊コンテナ・与圧式タンク・木箱梱包と万全の体制が取られた。この輸送の為に新たな温度湿度管理システムと密閉タンクが開発されたという。この様に直立状態で特殊コンテナ梱包という容積の大きい輸送品となった。エアカーゴに多用されているB747型機では入りきれず、ベルーガのチャーターが必要とされた。絵画輸送時、ベルーガの胴体には、運んできた「民衆を導く自由の女神」が描かれていた。

■最大ペイロード:47.3トン■航続距離:約1666km(最大ペイロードにて)■巡航速度mach0.7■搭載燃料62000l■全長56.16m■全幅44.84m■全高17.25m■最大離陸重量155トン。

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