F-15J/DJ
Eagle
JASDF
飛行教導隊
2004.2.24 撮影地:百里基地
現在、日本の航空自衛隊において主力戦闘機として稼動している要撃戦闘機。国内各航空基地におよそ200機以上が配備されている。機体の開発は米国のマクダネルダグラス社(現ボーイング社へ合併)であり、ここより三菱重工業がライセンス契約して国産化した。機種名末尾の「J」は国産化を示している。
米国での開発経緯
F-15は制空戦(ドックファイト)を主な任務としてアメリカで開発された。朝鮮戦争時に活躍したF86セイバー以来の制空戦闘機となる。しかし、セイバーからイーグルが誕生するまでに30年程の空白がある。それは米空軍の戦闘機開発構想の混乱によるものであろう。
ベトナム戦争時に投入された米空軍の戦闘機はセンチュリーシリーズと呼ばれるF-105D/Fサンダーチーフであった。これは戦闘爆撃機と呼ばれるもので、当時のミサイル万能主義により機動性といった制空戦能力よりも爆撃能力や対地攻撃力に重点がおかれたミサイルキャリアーである。対する北ベトナム軍は旧式だが機動性の良いMig-17でドックファイトを挑んできた。制空戦に劣るF-105はMig-17に苦戦を強いられ、その半数が失われたとされる。米空軍は制空戦闘機の必要性を感じつつもとりあえず、すでに米海軍で採用されていた機動性に優れたF-4ファントムUを採用してベトナム戦を乗り切ろうとした。
アメリカ空軍は新たな戦闘思想を実現する機体FXを考えるが、時の米国防上層部は費用対効果の観点から空海軍共用を提案。しかし、海軍との戦闘思想の違いから計画は頓挫し、それでもなお米空軍はFXのコンセプトに迷いつづける。
1967年、モスクワで行われた航空ショーでソビエトはMig-25といった高性能戦闘機を発表させた。これは米軍関係者を焦らせることとなり、これを受けるかのように米空軍はドックファイターの開発一本に絞り、1968年に航空機メーカー各社へ全天候制空戦闘機の開発提案要求を出した。そして1969年にマクダネルダグラス社提案が採用され、Mig-25に酷似した機体:F−15が誕生するのである。初号機の初飛行は1972年7月27日(単座機)、F-15Aとして部隊配備が始まったのは1974年からであった。日本版F-15
1975年頃から動き出した航空自衛隊の第三次FX選定で候補に上がった機体は、F-15の他、F-14,YF-16,YF-17,ミラージュF1E、サーブヴィゲン、トーネードの7種。欧州機の採用の可能性は当初から低く、YF-16,17は試作機とあって可能性は無し。対抗馬としてF-14が残ったが、これは艦載機ということもあって、結果1977年にF-15が選定される。国産1号機が自衛隊へ引き渡されたのは1981年12月11日であった。主契約社の三菱重工のほか、川崎重工、石川島播磨重工、富士重工、住友精機、新明和、日本飛行機の国内各メーカーが製造分担した。
空自が採用したF-15J/F-15DJとは、米空軍のF-15C/Dに相当する。では何故そのままC/Dではなく「J」が付与されたのか。それは日本がF-15を装備する際、アメリカ側がTactical Electronic Warfare System(戦術電子戦システム)など一部の電子機器の供与を拒んだため、それらを国産で独自開発(J/TEWS)せねばならなかった為である。航空自衛隊F-15J近代化改修
防衛庁、平成15年度政策評価書によれば、F-15Jの既存装置のままでは2010年代以降、予想される脅威に対処することが困難であるという理由から、電子戦環境下でのミサイル戦における優勢の確保と、戦況把握、表示能力の向上を図ることを目的として近代化改修を行うとしている。主な改修点は、
1)レーダーをAPG-63からAPG-63(V)1へ換装
2)セントラルコンピューター、発電機、冷却システムの換装
である。これらの改修は既に米軍機でも改修実績があることから、空自でもそれに倣ったものと思われる。費用は平成16年度分4機改修で181億円が予算要求されている。
飛行教導隊
通称「アグレッサー」。空自の各飛行隊から選りすぐりのパイロットを集めて編成されたどこの航空団にも属さない航空自衛隊航空総隊直轄の飛行隊なのである。目的は戦闘飛行隊のパイロットの更なる操縦技術向上のため、仮想敵国の航空戦術を研究し、自ら仮想敵機(アグレッサー)となって各基地を巡回して教導訓練を実施する。事実上の空自の精鋭部隊といっても過言ではないだろう。使用するF−15は複座型のDJが主であったが、近年単座のJも使用されるようになった。主な機体は次の通り。飛行教導隊使用機(2004.12時点)
機体番号
機種
塗装
備考
#083 F-15DJ 茶とからしのまだら(からし)
2001年〜
#088 F-15DJ 青と水色のまだら(みずあお) 2002年〜 #090 F-15DJ 茶色(ちゃいろ) 2001年〜 #091 F-15DJ 緑と黒のまだら(ガメラ) 2001年〜 #092 F-15DJ 青色(あお) 2001年〜 #095 F-15DJ 水色の稲妻模様(スカラー) 2003年〜 #096 F-15DJ 緑色(みどり) 2003年〜 #902 F-15J 白と黒 2003年〜 #912 F-15J 緑、茶、からしのまだら 2004年〜 ※主な過去使用機
#065(黒)>305SGへ移籍、#063(そとあお)>23SQへ移籍、#073(茶)>23SQへ移籍、F-15J諸元
全長: 19.45m■ 全高: 5.65m ■ 全幅:13.05m ■エンジン: P&W F100 /IHI-100 turbofan engines with afterburning ×2基 ■自重: 12,000 kg ■ 最大離陸重量:30,800 kg ■ 最大速度: Mach 2.5
国内調達価格:約107億円(1機)