栃木県内の静態保存蒸気機関車 

地図の各保存場所をクリックするとそれぞれの詳細ページが開きます。

栃木県内には複数両の動態保存蒸気機関車(自力で走行できる 状態)がある。1994年から真岡鐵道のC1266、C11325の計2両でSLもおか号として、2017年から東武鉄道鬼怒川線でC11207がSL大樹号として営業運行している。。その影で静かに眠りについている静態保存されている蒸気機関車たちがいる。その種 類は大小様々。かつて県内で活躍したゆかりあるものや、はるか他方から現役引退後に保存のためにやってきたものなど経歴もまちまちだ。

自治体主体で保存が行われたものが多いが、設置以降それぞれの蒸機たちの境遇は明暗が分かれている。注油や再塗装、清掃など定期的に手入れが行われて大切に保存されているものもあれば、保存場所をとりあえず確保して置いてあるだけのもの。そしてせっかく譲り受けたものをあまり手入れもせず、自治体の都合でスクラップ同然に撤去されてしまいそうなものなど。

現役引退後、辛うじて解体を逃れて第二の人生を歩み出した彼らも、安住の地を得られたとは言い難い状況になりつつあることを知り、せめて今の彼らの姿を写しとめてやりたいと思い、県下の取材をしました。普段あまり 人の訪れることの少ない彼らにスポットを当てたいと思います。

【追加情報】

栃木県那須烏山市内で2012年8月より鉄道車両を保存展示する団体(この団体の出所は不明)により、複数の鉄道車両が公開展示されているようです。団体のホームページによれば蒸気機関車も5両ほど保存している模様です。

真岡市は真岡鐡道真岡駅の東口に、運輸会社の敷地跡にSLキューロク館をオープンさせ、真岡市内の井頭公園内に保存されていた49671号を同館に移設させ、再整備して展示している。また静岡県内に保存されていたD51146号を2015年に譲り受け、SLキューロク館敷地内に再整備して展示をおこなっている。49671もD51146も圧縮空気を使用しての自走展示を行えるように改造を施されている。

旧今市市(現日光市)にあったテーマパーク「ウエスタン村」は2006年12月で休園となり、以降再開はされていません。ここに動態保存されていた15321ワイパウ、Virginiaの2両のSLについては、15321ワイパウ号が東武ワールドスクエアに2017年から静態展示されています。Virginiaについては消息はつかめておりません。

静態保存蒸気機関車の保存状態チェック

静態保存蒸気機関車の保存状態は千差万別。この栃木県内の保存機はほとんどが屋外保存になっているが特に屋根の有無によってコンディションにかなりの差が出てくる。どのように保存するかはその機関車の持ち主の意向によるが、一般客がこれらの保存機を御覧になられる時、できるなら次の点に注意して御覧頂けるとその機関車の本当の意味でのコンディションが分かると思う。なお、外見の塗装の状態には、ごまかされない様に。塗装が奇麗だけで善し悪しを決めてしまうのは早合点です。

・ボイラーの下面(腹の部分)側

屋外展示で雨曝しになっている場合、特に水滴などは当然下部に集まる、それを放置すれば腐食(錆)が急速に侵行する。つまり、痛みが一番進んでいる可能性がある。見えづらい箇所ですが、この部分に錆びや腐り、外板の剥がれ、穴などが開いていませんか。ボイラー全体がこの腐食で湾曲までしていたらもうこの機関車の再生は、ボイラー自体を作り直さない限り絶望的。

・弁装置(シリンダー)部分

蒸気を動力として伝える重要な部分ですが、この弁装置に錆びなどの腐食やそれによる穴などありませんか。特に下の部分を覗き込んでみて下さい。

・動輪軸などの足回り

D51型などは80トン近くある重量物です。長期間同じ場所においてあるとやがて動輪軸などが徐々に車体の重さのために歪みが生じて来ます。目視では判別が付きにくいところですが。。車軸が歪んでしまっていると、それ自体で転がすこともままならなくなります。動態再生するならそっくり作り替えることも考えなければなりません。

その他、ロッド周りを全面的に塗装しているか、防錆油等でグリスアップしているかで定期的に手入れが為されているかわかります。また屋外で屋根がない場所での保存の場合、煙突に”フタ”を付けるだけでも雨水の内部進入を防ぐ上で効果があります。これらの事が全てクリアーされている保存機なら特Aランクと評価できるでしょう。

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