御召し列車<新1号編成>

ノルウェー王国・ハラール5世国王陛下・ソニヤ王妃陛下が、2001年3月25日から1週間の予定で国賓として日本を訪問された。日本滞在中の3月28日に、ノルウェー国王陛下夫妻を天皇皇后両陛下がご案内し、神奈川県行幸啓された。行幸啓には、東京駅から新1号編成によるお召し列車が仕立てられた。東海道線、横須賀線を通って北鎌倉駅へ向かわれた。御召し列車は片道のみで、両陛下が北鎌倉で降車された後、列車は逗子まで行ってから補機を連結して回送で東京へ戻った。当日、両陛下はノルウェー国王陛下夫妻を案内して鎌倉市内の円覚寺を訪問。続いて江ノ島ヨットハーバーにてレセプションご臨席。横須賀市の海洋科学技術センターをご視察された。

新1号編成 試運転 2001/2/16(北鎌倉―鎌倉:撮影)

3月の本番に先立ち、新1号編成を使用しての試運転が東京―逗子間で行われた。EF65で回送された新1号編成列車は東京からEF5861牽引で逗子まで運転。逗子で編成後尾に再びEF65を連結、同機牽引で東京へ戻った。


下り列車。北鎌倉に程近い踏み切り近くからフェンスかぶりつきで撮った


上り回送列車。EF65に牽引され、ゆっくりとした速度でやってきた。


EF65のサイドショット。これ以降28mmレンズで連続撮影。


供奉車、460。編成の電源車。


供奉車、340。


1号御料車。編成の中心。陛下がご乗車になっていないときは菊の御紋が外れていることを初めて認識した。


同じく、1号御料車。


供奉車、330。


供奉車、461


御召し列車牽引指定機のEF5861

撮影記
試運転のこの日は朝から晴れ渡り、まだ2月だというのに日中は上着を着ていると汗ばむくらいの陽気に包まれた。はじめて見る御料車。とにかく見たことが無いものを見てみたいという好奇心だけで平日のさなか出かけた。普段、ローカル線区をはしるSLばかりを撮っている私にとっては、不慣れな電機の撮影、未踏の地での場所探しなどかなりハンデもあった。とりあえず運転予定線区を地図やNETを使って情報収集。東京―横浜は複々線で都会の中を走り、横浜より先は比較的落ち着いた風景が広がることを知り、本番も睨んで都内ではなく、横浜より先の神奈川県内で場所を絞ることにした。そして地図をにらんで北鎌倉付近に丘陵とトンネルがあることを知り俯瞰やよもすれば梅を絡めようという贅沢な構想を持って北鎌倉を目指した。横須賀線を乗り継いで向かう車窓の中、踏切やホームに立つJR等の警備関係者の多さに驚かされた。試運転でこの警備の多さはさすが御召し。この日は鉄道ファンより警備の人の方がずっと多かった。北鎌倉の駅はもっとすごかった。本番当日は降車される駅とあって駅自体もきれいにされていたが、ホームには数メートルおきに職員が立ち物々しさを感じた。改札をぬけ、ともかくトンネルある方向へ。当初考えていたロケハンをするにはちょっと時間が無い。通過予定の30分前に着いたのは大誤算だった。各踏切には上下線に1人ずつ2人の警備が立っている。トンネル方向に向かったものの、やはりローカル線というわけにはいかず、背の高いフェンスと警備の物々しさに押され場所が定まらない内になんと北鎌倉に試運転列車が入線してしまった。仕方なく、踏切の脇でフェンスにかぶりつきながらゆっくり走って来るEF5861牽引の新1号編成を撮った。
逗子から折り返してくる回送までの時間の余裕もないので、そのまま鎌倉方面へ急いで徒歩移動。トンネルの鎌倉よりに回った。所々梅が咲いているもののなかなか絡められるポジションが掴めない。なにより自分の背丈より高いフェンスが最大のネックになってアングルがいいのにフェンスが邪魔という繰り返し。ともかくトンネルが見える位置まできてカーブ外側から狙うことにした。ここもフェンスが高いことから三脚を立てることを諦め、手持ちでフェンスをパスすることに。ほとんどしがみつき状態になってしまった。ほどなくEF65に牽引された回送がゆっくりとした速度で接近。広角域でシャッターを切りまくった。

 
新1号編成 天皇皇后両陛下神奈川県行幸啓運転
2001/3/28(保土ヶ谷―東戸塚:撮影)

 撮影記

神奈川県地方の午前中の降水確率60%。当日は期待した好天ではなさそうだ。バックに携帯用の傘も忍ばせて準備。翌当日4時起床。家を出る時はまだ暗く天気の様子も掴めなかったが徐々に明るくなるに従い曇よりとした空が広がって来た。電車を乗り継いでJR品川駅へ向かう。途中田町の駅のホームにはすでにいくつものカメラの放列を確認できた。朝8時前に品川駅に着き臨時ホームに向かったものの、お目当てのお召し列車の姿は無し。30分程度待っても姿を現さないため、撮影目的地へ向かうことに。横須賀線で東戸塚へ移動。途中の車窓から新子安や東神奈川、保土ヶ谷付近はすでに大勢のファンの三脚やカメラの放列で賑わっていた。目的の東戸塚駅から保土ヶ谷方面に戻ったところにトンネルがある。国内でも最古の部類に入る清水谷戸トンネルの飛び出しが今日の狙い。東戸塚の駅から徒歩で東海道線のガードをくぐるとすでにファンの人垣が出来ていた。線路沿いの小道を辿ってトンネルに接近。民家の前のやや背が低めの垣越しに構えることに。天気は曇天から徐々に明るくなり、ついに通過前には日差しが戻ってきた。天気予報はこの日に限っては有難い大外れになった。東京駅の発車時刻は掴んでいたものの撮影場所の通過時刻まで確認して来なかったため、いつ来るのかわからずに待機。SLのように汽笛が聞こえないため、トンネルから出てくる走行音のみが頼り。もうそろそろかなと思っていると走行音がトンネルから聞こえてきた。とりあえずウォーミングアップのつもりでカメラを構えた。ファインダーを覗いてびっくり。なんと本命ではないか。ノルウェー国旗と日章旗を前面で菊のご紋を中心にクロスさせて掲げたEF5861牽引の新1号編成がほとんど「かっ飛び」状態で通過していった。予定の正面と振り向きで後追いを撮影。なんとかシャッターは押せたものの、どう写ってくれていることやら・・・。警備の内、警察関係者は返しの回送は見送らないということで早々に引き上げていった。私は回送を撮るためにここを引き上げ、トンネルの反対へ向かうべく、保土ヶ谷方向へ徒歩移動。清水谷戸トンネル上の環状2号線上から回送を狙うことに。ここは私を含めて10名もいなかったように思える。それでも幹線道路沿いということでわざわざ車を止め、何があるのかを聞きに来る方が結構いた。ほぼ予定通りEF651106に牽引された新1号編成は、ELのホイッスルとともに静かに通過していった。しかし、きれいな車体でかっこ良かったな。

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