1080 (形式1070)

佐野市(旧:葛生町)

 日鉄鉱業羽鶴にて保管されていました1080号は、2009年7月21日に同所より京都市内の梅小路蒸気機関車館へ搬出されました。
JR西日本ホームページのプレスリリース参照

1070形主要諸元

軸配置:2B1t
気筒径×行程:406mm×610mm
使用圧力:11.0/12.0kg/cm2
火格子面積:1.32m2
全伝熱面積:73.9m2
重量:48.0t

水槽容量:6.2m3
燃料搭載量:2.5t
全長:11381mm
動輪径:1520mm
製造初年:1925年
製造両数:49(1070-1118)

1080号の履歴

1900年 官設鉄道 D9形651号機として登場。製造は、英国スコットランドのダブス社グラスゴー機関車工場。東海道線新橋〜神戸間の直通列車大増発による旅客用機関車増備
1909年 形式改正により、鉄道院6270形6289に改番
1926年 浜松工場で改造(1070形1080に改番)
1933年 6月末の機関車配置表によると美濃太田機関区に配属中
1940年 日鉄鉱業赤谷専用線に払い下げられる
1956年 赤谷専用線廃止に伴い羽鶴鉱山(葛生)へ(転籍に伴う資料が国立公文書館に運輸省文書として公開されています)
1961年 大宮工場にて、修繕
1972年8月 29日に国鉄郡山工場乙種修繕(臨時)出場
1973年 東北本線の貨物列車速度向上に伴い、今後の修繕が危やぶまれる為、福島の協三工業にて、大修繕実施。この時に、形式入りプレートに取り替える(工場最終入出場の際に、ファンや関係者の寄付によって作られた物)
1979年6月 日鉄鉱業羽鶴線での現役引退(最後の自力走行)
1991年 DL牽引により羽鶴構内を回送
2008年7月 日鉄鉱業よりJR西日本へ1080号の寄贈を申し入れ
2009年7月 梅小路蒸気機関車館へ向けて搬出
履歴の一部情報は、鉄道雑誌「とれいん」No201(平成3年9月号)より抜粋、”ポニー139”様より情報提供頂きました。

 1070形式機関車は、6270形テンダー機をタンク式に改造されたものである。原形の6270/6200形は、明治時代に成功を収めた5500形の後継機として採用され、官有鉄道の東海道線旅客列車用として大量投入された2B形テンダー式機関車である。1897年に英国のネルソン社から18両が導入され、作業局形式でD9形が付けられ、1909年の形式改正で6200形となった。6200形はスピードが速く、英国流の洗練された形態を持っていた。1900年にネルソン社から32両、同一仕様でダブス社から25両が導入された。このダブス社製機関車が後に6270形となる。東海道線の東部にネルソン社製、西部にダブス社製が配置され、直通列車や急行列車に活躍した。1906年の鉄道国有法施行後は全国に分散して配備された。

 1080号は、作業局形式D9形651号(1909年の形式改正後6270形6289号)1900年ダブス社製テンダー機を原形としてテンダ式をタンク式に改造した機関車です。国鉄から移り渡って、栃木県葛生町(現:佐野市)の日鉄鉱業専用線で貨物輸送列車牽引を担いました。昭和50-60年代もDLの予備機として年数回運行されていました。貨物専用線は、1991年(平成3年)11月に廃止され、線路が剥がされた今日も1080号は旧:葛生町の日鉄鉱業羽鶴の所内に公開されないままひっそりと眠りに付いていた。。

 2008年7月。日鉄鉱業(株)はJR西日本に対して1080号の寄贈を申し入れた。JR西側は受け入れることを承諾し、京都市内にある梅小路蒸気機関車館にて保存展示することが決まった。翌年の2009年7月21日に羽鶴から1080が搬出され、トレーラーにて5日間かけて夜間走行にて京都市内に到着した。7月26日未明に梅小路蒸気機関車館にてトレーラーからクレーンにて構内の展示線に移され、同館にある8630にて牽引。扇形庫検修線奥へ押し込まれた。これ以降庫内にて整備が行われ、2009年9月ごろに譲渡式及び一般公開される予定です。

1080号の羽鶴専用線時代の写真記録は「真岡鐵道ファン」の「葛生の古典蒸機1080」にて御覧頂けます。