陸羽東線ロケハンレポート
(奥の細道湯けむりライン)

小牛田と新庄を結ぶ94.1kmのローカル線。1999,12.4の山形新幹線新庄延伸とともにダイヤ改正によって「奥の細道湯けむりライン」という線区愛称が付けられた。記念して運行されたSL奥の細道湯けむり号の撮影を前提としたロケーションハンティングを行い(1999年)、まとめてみた。

【小牛田】転車台は健在。小牛田運輸区は小牛田駅の南側にある。駅舎は線路西側にあって西側の線路沿いの道路を南下していけば転車台が道路から見える。駅構内は線路西側にある自転車置き場や、生協(A-COOP)の駐車場から構内や運輸区を一望できる。


A-COOPより小牛田駅を見る

転車台は線路西側の道を更に南下し東北線とクロスする所にあり、県道より丸見え。ラウンドハウスはなく、回すだけのもの。車両を格納するクラは線路の東側になり、ちょうど転車台と本線をはさんで向かい側になる。


小牛田運転区内の転車台、
宅地傍の公園からも見える

【小牛田〜古川】小牛田を発車すると、北側の踏切を越してすぐ左カーブしていく。架線は分岐してカーブし県道とクロスするところまで延びており、ここから眺めると架線が邪魔になる。このクロスを越えると田園地帯の平坦な直線を国道と並行してはしる。若干の登り勾配になっているが0.8‰だけである。

陸前谷地ー古川に新江合川の鉄橋がある。川幅は狭い。川に向かって上下双方から15‰の登り勾配になっている。線路南側から川岸に降りてみたが、平走する108号沿いに高層マンションが建ってしまい、橋をこちらから撮ろうとするとこのマンションが入ってしまう。


古川―陸前谷地間

【古川】新幹線、高速道の降り口であり、行動の起点とする鉄も多いと思われる。ビジホもあり。駅発車は岩出山寄りだと、踏切か、線路北側の駐車場から望遠気味で見ることができる。駅の南側の古川商業高よりからだとフェンスと堀があり接近するのは難しい。


古川発車(下り)

【古川ー西古川】古川を出ると塚目(つかのめ)まで新興住宅地の中を駆け抜ける。3.3‰の登り勾配。高速道路をくぐると田園地帯にひらける。このあたりで6.7‰の登り勾配。線路は右カーブし、10‰の登り勾配で西古川へ進入する。

【西古川】7-18時までながら駅員の常駐する駅。駅前は広いが閑散。駅から線路沿いの細い道を北へいくと西古川児童遊園(ただの公園)があり、C58−19が静態保存されている。コンディションは悪い。悪戯書きが多く少々悲しい。


西古川のC58−19

【西古川〜岩出山】線路は北よりへ向かい田園地帯を走る。勾配は3.3‰の登り勾配。途中小さい河川を越えるが西大崎駅手前の鉄橋は上下双方15‰の登り勾配になっている。

【岩出山〜上野目】岩出山はもともと伊達家の居城があったところ。観光関係を中心にお店などあり。駅舎に併設する形で鉄道資料館があったが閉まっていて入れなかった。駅前は数台の車が置けるが駅前広場としては狭い。線路は有備館をすぎるまで宅地内をはしる。これをすぎると江合川を渡る鉄橋がある。鉄橋を越えると上野目方向へ3.3‰の登り勾配になっている。


有備館―上野目:江合川を渡る鉄橋

【上野目〜池月】再び田園地帯を走る。47号から並走するのでよく見える。このあたりから山が少しずつ近づいてくる雰囲気。(1999DJ誌掲載A,B,Cポイント付近)

【池月〜鳴子温泉】池月を過ぎると山が急に迫ってくる。鉄路は緩やかにカーブをうちながら田園地帯を走る。なかなか田舎の雰囲気もある。小黒ヶ崎山付近は紅葉でも有名な場所。山辺を回り込むように鉄路が進む。線路と国道が近く、ドライブインもあることから列車を手軽に眺めれる付近。

川渡温泉ー鳴子御殿湯の江合川鉄橋付近は河川工事をやっている。中州に樹木が生えて鉄橋より高く伸びてしまい、鉄橋全体をすっきりと見ることはできない。

鳴子御殿場から山肌を縫うように高い築堤を走るようになる。勾配もでてくる。47号から結構高い位置を走る。この辺あたりから温泉宿が立ち並ぶ。


川渡温泉ー鳴子御殿湯の江合川鉄橋

【鳴子温泉〜中山平温泉】下り線のサミットの一つになるであろうこの区間。鳴子温泉から引き続き山間をぬうように走る。勾配標は取材時は夏草に覆われて発見できなかったが18‰ほどの登り勾配になっているはずである。鳴子温泉から鳴子トンネル手前まで線路伝いを歩いてみたが47号を眼下に見える高い位置にある。鉄橋がトンネルまで2個所あり、線路沿いのアプローチはこのあたりからルートができている。途中Sカーブもある。鳴子町を見渡せる鳴子公園が山の上にあり、ここから鳴子温泉駅からこの築堤を見渡せる(RM誌ガイド、Iポイント)。47号は線路を仰ぎ見ながら、右にカーブしていき、自動車用のトンネルを抜ける、トンネル手前には展望できる場所があり、ここも鳴子温泉街を見渡せる。

国道47号の鳴子トンネルを抜け、しばらく走ると鳴子峡入り口付近の橋がある。大深沢峡にかかるもので、ここからトンネルを飛び出してくる鉄道車両の映像は、陸羽東線を代表する撮影地としてあまりにも有名。場所取り競争率も高い。交通量が多いところでもあり大型車が通過すると振動も激しいので三脚たてには注意が必要。さらに47号を堺田方面へ進み、中山平温泉駅への案内板が見えてくる。それにしたがって側道に入っていくとC58-356が見えてくる。中山平温泉駅である。駅手前まで18‰ほどの登り勾配で、構内でLになる。


線路端より鳴子温泉街を望む

【中山平温泉〜堺田】中山平温泉を出ると県境に向かってさらに18.2‰の登り勾配が続く。人家も極端にすくなくなり、47号と絡むように鉄路がすすむ。線路は47号よりも高い位置にあり、法面も傾斜がきついので登るのはルートができているところ以外は上がるのがたいへんそう。中山平から47号を進むと始めに道路とクロスする鉄橋があり(第3大谷川橋梁)、ここも定番の有名撮影地である(RM誌Kポイント)。鉄橋タイプは有備館ー上野目間のものと同等だが橋脚が高い。橋の下に駐車できるスペースが有る。

ここから、しばらく道路と鉄路は並走する。築堤を進む列車を下から仰ぎ見るのもいい。


中山平温泉―堺田(車窓より)

県境を越え山形県に入り、47号は登坂車線になり登りきったところから更に進んだところから左折すると堺田駅がある。線路はここが頂上。駅は交換ができる無人駅で駅前は民家が数件あるのみ。駅の南側は防雪林が並ぶ。ホームから勾配を登ってくる列車も見れる。


堺田駅前の分水嶺

【堺田〜赤倉温泉〜瀬見温泉(旧:瀬見)】このあたりは平坦で開けた水田地帯をいくが山も迫っており、俯瞰も面白いかも。

赤倉温泉(旧:羽前赤倉)―堺田は、山形県側の登坂区間。上りのサミットになるであろう。山沿いを走るが、水田地帯も結構ある。この辺の47号より高い位置に鉄路があるが宮城県側よりは低い。

赤倉温泉―立小路―最上間は、ほぼ平坦な田園地帯を駆け抜ける。47号線と並走しているが、国道からやや離れた距離を保っており、線路端に接近するには農道に入らないといけない。

SLダイヤから最上(旧:羽前向町)で日没を迎える。夕景を考えると上り列車はこの区間までに考慮が必要。小牛田起点運転となると西に傾いた日と逆光になる。

最上―大杉―鵜杉間も平坦な地形。鵜杉駅入線付近も意外と人が集まっている。鵜杉ー瀬見温泉の鉄橋(DJ誌E地点)もあまり以前と変わっていない。鵜杉を出て、瀬見方面へ向かうと急に山間が迫り、トンネルを抜けながら瀬見地区へ進む。

【瀬見温泉〜長沢】瀬見付近は小国川沿いの渓谷を行く。紅葉もみられる場所。山間にあるためか汽笛の音がよく響く。瀬見温泉―東長沢の小国川と47号をくぐる鉄橋は赤色のオーバートラスである。


赤色のオーバートラス橋

 

瀬見地区を出て赤いトラス橋をくぐりしばらく行くと47号は鉄路と別れトンネルを抜けて新庄へショートカットする。鉄路沿いに行くには県道方面へ入る。川沿いをぬいながら平坦な水田地帯をはしる。


47号と分岐し、県道をクロスしたところ

東長沢―長沢の鉄橋もトラスがなくカーブがついているが、橋のたもとに農家のひとが置いていると思われる廃車になった軽トラックがおいてあり少々アングル的には気になる。


東長沢―長沢

【長沢―南新庄】この区間は山が近いものの、平坦な田園地帯を走る。線路は直線ではなく左右に緩やかにカーブしながらすすむ。県道から舟形若あゆ温泉(あゆっ子村)へ結ぶ橋も開通し、その道路も線路とクロスする。南新庄から奥羽本線と別れてカーブするあたりの田園は段々畑状になっている。

【南新庄〜新庄】長沢―南新庄の国道13号とクロスすると奥羽本線の標準軌道と並走になる。この間は線路間でやや距離があるが南新庄駅を通過すると写真のように並ぶ。但し、二つの線路を仕切るためのポールとロープが張られているので注意。


南新庄―新庄、標準軌道と並走する

【新庄】山形新幹線の伸展で駅舎を全面建て替え、総ガラス張りの新駅舎が出現している。運転区奥手に赤レンガ調の車庫が見えた。これをバックにSLを眺めてみたいものだ。


新庄駅ホームより車庫をのぞむ。
車庫の右奥手に転車台が在る。

新庄運輸区は駅舎の反対側(線路東側)にある。運輸区へのアプローチは国道13号から、最北精密の工場北側の細い道を進んで突き当たり。13号からはKsデンキ(家電量販店)の看板が目印。駅舎側からは駅北側の踏切(道路狭し)を渡ってすぐ南方向へ。転車台は運転区の建物に囲まれた中にあり、この通りから丸見えである(運転区に入らなくても車道から目の前に十分見れる)。しばらく使われていない雰囲気であるが、レールは外してはいない。


新庄運輸区内の転車台


沿線情報および関連リンク

【コンビニエンス】47号沿いなど点在してある。24時間もあるがよるpm11時までの所が多く注意。

【ガソリンスタンド】47号沿いに点在しているが、店じまいが早く夜7時台には多くの店が閉めてしまう。夜8時過ぎに47号を走ったが新庄から県境を越え岩出山を過ぎるまで、ガソリンスタンドは1件も開いていなかった。

【温泉】鳴子地区を中心に温泉街がある。宿泊施設が多いが、500円程度で日帰り入浴も可能。共同浴場も鳴子、川渡にある(下図参照)。宿泊施設は高いところもあるが1万円以下で2食付きのところもある。

鳴子温泉郷(鳴子観光協会)オフィシャルページもどうぞ。

日帰り温泉浴場(掲載情報は1999年5月現在のものであり、変わっていた場合はご容赦ください。せんだいタウン情報誌を参考。)

川渡温泉:川渡共同浴場(泉質:単純泉)

利用時間:4:00−23:00
定休日:無休
風呂数:内湯2
駐車場:無し
料金:大人200円、子供100円
電話:無し

鳴子温泉:滝乃湯(泉質:硫黄泉)

利用時間:7:30−22:00
定休日:無休
風呂数:中浴場2
駐車場:無し(神社脇の駐車場に置く人が多い。神社西側に回り込む。)
料金:大人150円、子供100円
電話:0229-83-3441

 

【道路情報】国道47号線が主要幹線道。鳴子付近を中心に冬季期間通行止めの県道もある。堺田峠(中山峠)付近まではカーブも緩く勾配も然程きつくはないが、気象的に厳しいところであり難所としても知られる。東北全般の道路情報、宮城県内の道路管理状況は宮城県土木部道路管理課のページ参照
山形県の道路情報は
山形河川国道事務所をどうぞ。国道47号線のライブカメラも見られます。

【道の駅】沿道に道の駅らしいところは見つけられなかった。鳴子付近にトンネルへの坂の手前に大きな駐車場(こけし資料館向かい)があり、トイレと水飲み場が完備されている。民間のドライブインは各所にあるが、午後7時ごろにはほとんどが閉まってしまう。

沿線最寄りの道の駅は、国道4号線沿いの「三本木」がある。古川市街より南へ6km程。詳細は仙台河川国道事務所(国土交通省)ホームページ内の宮城の「道の駅」参照。

【気象情報】

【SL列車運転について】(JR東日本仙台支社

菊池写真館撮影のC57−180の画像はこちらをご覧ください。


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